品質保証はソフトウェア開発における重要な部分であり、効果的なテストケース設計は、ソフトウェアアプリケーションが正しく機能し、優れたパフォーマンスを発揮し、ユーザーの要件・ニーズを満たすことを確実にするための鍵となります。すべての可能性のあるシナリオをカバーする効果的で包括的なテストケースを作成することは、困難ですが非常に重要なタスクです。この記事では、より良いソフトウェアテストを実現するために、テストケース設計の原則と手法について解説します。

テストケースの理解
テストケースは品質保証プロセスにおいて重要な役割を果たし、テスターがアプリケーションの特定の側面がすべて正しく機能していることを確認するのに役立ちます。テストケースとは、アプリケーションの特定の側面を検証するために、テスターが従う詳細な条件、テストステップ、入力、および期待される結果の集合です。テストケースの有効性は、ソフトウェアの品質に大きな影響を与えることができます。

テストケース作成の目的

• 不具合の特定

• エンドユーザー要件の検証

• ソフトウェア品質の向上

• 保守・サポートコストの最小化

• デプロイメント後のリスク回避

• 品質プロセスへの準拠

• ソフトウェアのリリース判断に関する経営陣の支援

テストケース作成時の観点
テストケースを作成する際、ポジティブとネガティブの2つの観点があります。したがって、テストケースもポジティブテストケースとネガティブテストケースに分類できます。

• ポジティブテストケース ソフトウェアやアプリケーションが期待通りに動作することを確認します。ポジティブテストケースを作成する際は、有効なデータのみを入力として提供します。例：有効な入力でのログイン確認。

• ネガティブテストケース 無効または不正なデータに対するソフトウェアやアプリケーションの機能を評価します。ネガティブテストケースを作成する際は、無効なデータのみを入力として提供します。例：無効な入力でのログイン確認。

効果的なテストケース設計のベストプラクティス

• シンプルに保つ 効果的なテストケースは非常にシンプルで、理解と実行が容易でなければなりません。不必要に複雑なテストケースを作成しないようにします。

• 独立性が重要 各テストケースは他のテストケースから独立している必要があります。すべてのテストケースは、それ自体で理解可能かつ実行可能でなければなりません。

• 重要な点に焦点を当てる アプリケーションの最も重要で頻繁に使用される機能に労力を優先的に配分します。

• すべてをテストする 包括的なカバレッジが不可欠です。これは、すべての潜在的なシナリオ、入力、エッジケースをテストすることを意味します。機能要件（ソフトウェアが何をすべきか）と非機能要件（パフォーマンス、セキュリティ、使用性）の両方を考慮します。

• トレーサビリティを維持する テストケースを特定の要件やユーザーストーリーに紐付けることで追跡を維持します。これにより、進捗のモニタリングと必要な要素がすべてテストされたことの確認が容易になります。

• 保守性が重要 テストケースは、ソフトウェアの進化に応じて容易に更新できる必要があります。テストケースと関連文書の中央リポジトリを維持します。

効果的なテストケース設計の手法

• 境界値分析 境界値や境界付近の値のテストに注意を払います。これにより、問題が最も発生しやすい箇所で不具合を見つけることができます。境界のすぐ上下の値をテストして、潜在的な問題を発見します。

• 同値クラス分割 すべての可能な入力やシナリオをテストする代わりに、入力データを同様の結果を生むべきグループ（同値クラス）に分類します。各グループから代表的な値をテストし、それが正しく動作すれば、同じグループの他の値も正しく動作するはずです。

• 状態遷移テスト 特定の状態やワークフローを持つアプリケーションに適用されます。システムが一つの状態から別の状態に移行する際の動作を確認します。各状態と状態間の遷移においてアプリケーションが正しく動作することを検証します。

• ユースケーステスト テストケースをソフトウェアのユースケースやユーザーストーリーに合わせます。実際のユーザーがソフトウェアとどのように相互作用するかを反映したエンドツーエンドのシナリオをテストします。これにより、実際のユーザーが操作した際にソフトウェアが期待通りに動作することを確認できます。

• 探索的テスト 計画されたテストケースに加えて、予期しない問題を特定するために自由にソフトウェアを探索することを推奨します。これは、ソフトウェアの動作を理解し、途中で発見される驚きや問題を見つける刺激的な旅のようなものです。柔軟で創造的なテスト方法であり、スクリプト化されたテストでは見逃されがちな問題を発見することができます。

テストケースのサンプル

組織によって好ましいテストケースの形式は異なる場合がありますが、以下に基本的なテンプレートを示します：
テストケースID：各テストケースの一意の識別子。
テストケース名/タイトル：テストケースの簡潔で説明的な名称。
説明/目的：テストケースの目標または目的。
前提条件：テストケース実行前に必要な条件やセットアップ。
関連要件：このテストケースが対応する特定の要件やユーザーストーリー、または文書の特定部分のURL。
入力：データ値、ユーザーアクション、または設定を含む詳細な入力情報。
手順：実行すべきすべての手順（アクション）の説明。
期待結果：表示、計算、または達成されるべき期待される結果。
実際の結果：テスト実行中に観察された実際の結果（実行時に記入）。
状態（合格/不合格）：テストケースの合否。
備考/コメント：テスト中の追加情報や観察事項。

上記のサンプルに従って、ソフトウェアアプリケーションのテストケースを作成することができます。効果的なテストケース設計はソフトウェア品質保証の重要な部分であり、この記事で説明した実践方法と技法に従うことで、すべての可能性のあるシナリオをカバーし、ソフトウェアの信頼性と堅牢性を確保するテストケースを作成することができます。また、変化するソフトウェア要件に適応し、高品質な基準を維持するために、テストケースの継続的なテストとメンテナンスも同様に重要であることを忘れないでください。

ウェブサイトのログイン機能をテストするシナリオの例を見てみましょう。

このシンプルな例は、ウェブサイトやアプリケーションのログイン機能に焦点を当て、さまざまなテスト技法を使用したテストケースを示しており、理解しやすくなっています。

この記事は、2023年10月に弊社エンジニアのPrahlad Shresthaが執筆し、日本語に翻訳したものです。
英語版はこちらをクリックしてください。
https://articles.wesionary.team/test-case-design-the-art-of-creating-effective-test-cases-8c832bb44bb3

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