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チームの目標達成を支えるKRAとKPIの基本と事例

Key Result Areas(KRA)と Key Performance Indicators(KPI)は、チームのパフォーマンス向上のための重要なツールとして広く認識されています。
パフォーマンスや結果といったものは、推測や主観ではなく、様々なデータの収集と分析によって行われるべきです。
本記事では、KRA と KPI に関する必要な情報をすべて網羅し、実例を交えながら、組織での実施方法について解説します。

KRAとは?

KRAは主要結果領域(Key Result Area)の略称です。これは、組織内で個人やチームが成果を上げることが期待される特定の領域や業務を指します。KRAは、目標を明確に定義し、組織の目標と整合させるための明確な枠組みを提供し、戦略的優先事項に向けて努力が向けられるようにします。
KRAを定義することで、組織は説明責任、明確性、整合性を確立し、個人やチームが望ましい結果を達成するために努力とリソースを優先的に配分できるようになります。
組織にとってKRAが重要な理由は以下の通りです:

  • 整合性:KRAは個人やチームの目標を組織全体の目標や戦略と整合させるのに役立ちます。各個人が自分の責任領域を明確に理解することで、その努力が組織の成功に直接貢献することが保証されます。

  • 明確性:KRAを定義することで、組織は期待事項と優先事項を明確にします。従業員は何に焦点を当てるべきか、どのような成果に対して責任を負うのかを理解します。

  • 測定:KRAはパフォーマンス評価と測定の基礎を提供します。組織は個人やチームが目標を達成しているか、組織の目標に向けて進捗しているかを評価することができます。

  • 説明責任:明確に定義されたKRAは説明責任を生み出します。従業員は特定の結果に対して責任を負うことを認識し、それが所有意識とパフォーマンス向上へのモチベーションを促します。

KPIとは?

Key Performance Indicator(KPI)は、組織が戦略的目標の達成に向けた進捗を評価するのに役立つ、具体的で測定可能な指標です。KPIは組織の目標との関連性と、パフォーマンスに関する有意義な洞察を提供する能力に基づいて選択されます。
KPIは組織内の異なる部門、プロジェクト、イニシアチブによって異なる場合がありますが、その主な目的は効果的な意思決定を支援し、組織の成功を推進する実行可能なデータを提供することです。
KPIが重要な理由は以下の通りです:

  • 進捗の測定:KPIは戦略的目標の達成に向けた進捗を定量的に測定します。組織が正しい方向に進んでいるか、調整が必要かを明確に示します。

  • 継続的改善:KPIはパフォーマンス改善イニシアチブのベンチマークとして機能します。KPIを定期的に監視し、傾向を分析することで、組織は改善が必要な領域を特定し、継続的な改善を推進する戦略を実施することができます。

  • モチベーションとエンゲージメント:明確で測定可能なKPIは、達成すべき具体的な目標を提供し、目標が達成または超過された際に達成感を与えることで、従業員のモチベーションを高めることができます。

  • 調整:どの戦略が機能しており、どの戦略が最適化を必要としているかを評価するのに役立ちます。これにより、チームのパフォーマンス向上に関する情報に基づいた決定を下すことができます。

  • 説明責任:KPIはパフォーマンスに対する明確な期待を設定することで説明責任を生み出します。

KRAとKPIの具体例をいくつか見てみましょう。ここでは、1つの役割に対して1つのKRAと最低3つのKPIを設定します。


営業部門の場合

KRA:売上高
KPI:売上高のKRAに関連するKPIには以下が含まれます:

  1. 月間売上高:営業チームが月単位で創出した総売上高を測定します。

  2. コンバージョン率:リードが成功した販売取引に結びつく割合を測定します。

  3. 顧客獲得コスト(CAC):新規顧客の獲得に関連するコストを測定します。

ソフトウェア開発者の場合
KRA:ソフトウェアの開発と納品
KPI:ソフトウェアの開発と納品のKRAに関連するKPIには以下が含まれます:

  1. コード品質:開発者が生成したコードの品質を測定します。これには読みやすさ、保守性、コーディング標準への準拠などの要素が含まれます。納期遵守率:設定された期限に従って完了し納品されたプロジェクトまたはタスクの割合を測定します。

  2. バグと不具合:開発者が開発したソフトウェアにおいて、テスト中および展開後に特定されたバグや不具合の数を測定します。

  3. 生産性:開発者が特定の期間内に完了した作業量を測定します。これには書かれたコード行数、実装された機能、完了したタスクなどが含まれます。

  4. 顧客満足度:フィードバック調査や評価に基づいて、開発者が開発したソフトウェアに対する顧客や利害関係者の満足度を測定します。

人事マネージャーの場合
KRA:人材の獲得と管理
KPI:人材の獲得と管理のKRAに関連するKPIには以下が含まれます:

  1. 採用所要時間:求人が承認されてから内定が受諾されるまでの平均時間を測定し、採用プロセスの効率性を示します。

  2. 採用の質:新入社員の一定期間後のパフォーマンスと定着率を測定し、適切な候補者を選択する採用プロセスの有効性を示します。

  3. 従業員離職率:特定の期間内に自発的または非自発的に組織を去る従業員の割合を測定し、定着戦略と全体的な従業員満足度の有効性を示します。

  4. 研修・開発への参加率:研修・開発プログラムに参加する従業員の割合を測定し、人材開発イニシアチブの有効性を示します。

これらの例を通じて、組織でKRAとKPIをどのように実施できるかについてのアイデアが得られたことでしょう。
両者は相互に関連しているため、時として両者を区別することが少し混乱する場合があります。KRAとKPIは互いに補完し合い、個人、チーム、組織の目標達成に貢献します。

KRAとKPIの主な違いを以下に示します。

定義

KRAは、職務の成功的な遂行に不可欠な責任領域や成果を広く定義します。達成すべきことを記述します。KRAは質的な性質を持ち、具体的な指標よりも全体的な目標や目的に焦点を当てます。
一方、KPIはKRAの達成に向けた進捗を追跡する具体的で測定可能な指標です。パフォーマンスを定量化し、目標がどれだけ効果的に達成されているかを示します。KPIは具体的で測定可能であり、多くの場合時間制限があり、客観的なパフォーマンス評価を可能にします。

プロセス

KRAは通常、パフォーマンス期間の開始時や職務の役割と責任を定義する際に設定されます。実行すべき業務の戦略的方向性とコンテキストを提供します。
KPIはKRAから導き出され、目標設定プロセスの中で設定されます。KRAの達成に向けた進捗を測定するために確立され、多くの場合定期的に見直しと調整が行われます。

  • KRAの例:顧客満足度:年初に、カスタマーサービスマネージャーがチームの主要結果領域として「顧客満足度」を定義する場合があります。

  • KPIの例:顧客満足度スコア(CSAT):年間を通じて、マネージャーはCSATに関連するKPIを設定し、目標を定め、それらの目標に対するチームのパフォーマンスを定期的に測定します。

測定可能性

KRAは質的な性質を持ち、成果や結果に焦点を当てます。直接測定できない場合もありますが、測定可能なKPIを特定するための枠組みを提供します。
KPIは、パフォーマンスの客観的な測定を可能にする定量化可能な指標です。進捗を評価するための具体的な目標やベンチマークを提供します。

  • KRAの例:品質改善:製品品質の向上という目標は生産マネージャーのKRAですが、直接的な測定値を持たない場合があります。

  • KPIの例:不良率:品質改善に向けた進捗を測定するために、生産マネージャーは生産単位あたりの不良数を定量化する不良率のKPIを設定します。

要約すると、KRAが職務の全体的な方向性とコンテキストを提供するのに対し、KPIはパフォーマンスを定量化し、KRAの達成に向けた進捗を追跡します。KRAは質的で広範囲であるのに対し、KPIは具体的で測定可能であり、多くの場合より詳細です。両者はパフォーマンス管理の重要な要素であり、組織の目標と目的との整合性を確保するために協働します。


この記事は、2024年2月に弊社の人事担当である Kawita Joshi が執筆した内容を日本語に翻訳したものです。
英語版はこちらをご覧ください。
https://articles.wesionary.team/introduction-to-kra-kpi-f1c8667dc6a5


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